主な12の症例
体の不調は、解決策を模索しながらも、どこへ相談に行けばいいのか迷われるようです。ここで紹介する症例はほんの一例で、その他の不調やご希望もご相談ください。目的にあった施療を受けるための手助けになればと考えております。
- Daily Activity Injuries : 日常生活での負傷
いつもと変わらない日常の動きの中で、ふとした瞬間に痛みを感じる場合があります。階段の昇降時、ぞうきんをしぼる時、布団の上げ下げ、椅子から立ち上がる時――。いつもと違う違和感や痛みを感じることがあります。
負荷の大小を問わず、体の組織がその時の負荷に耐えられないときに、組織に損傷が起きます。ケガをして72時間が一般的に急性期とされており、この時期に早めにケアすることでその後の回復に大きく影響します。痛みと炎症の度合いによって施術方法を調節しながら、早期の機能回復とQOL(生活の質)の向上を目指します。
- Recreational Activity Injuries : 運動での負傷
余暇の楽しみとしてジョギングやハイキング、登山、サイクリング、ロッククライミングなど週末に集中して活動することを、“Weekend Warrior(週末の戦士)”と言います。
少しずつ基礎体力をつけるために日々運動するのは、実際なかなか難しいことです。そのため、少し無理をすると関節や筋肉が痛くなり、数日経過しても身体のあちらこちらが痛くて生活に支障をきたすことがあります。
ケガ防止のため、ストレッチを中心とした治療を活動前に行うことをおすすめします。さらに、週末の痛みや疲労を次の週に持ち越さないためにも、活動後にもおすすめします。
たとえ、娯楽のための運動とはいえ、目標を設定して試合に出たり記録を伸ばそうとしている方も多いでしょう。目標に応じて、関節可動域の改善や筋の収縮・伸張の向上を目的に身体を整えておくことをおすすめします。
- Musician Injuries : 楽器演奏による傷害
演奏はスポーツと異なり、ケガをしないと誤解されがちです。
演奏者は同じ姿勢でいることが長く、また反復性も高いので、体の一部に負荷が集中します。長時間の練習や本番で姿勢を保つ筋腱組織のほか、楽器を操作する筋肉の疲労はスポーツアスリートと同様といえます。これを累積性外傷疾患と呼んでいます。
Dr. Leahyによる反復性運動の法則: I = NF / AR
4つの物理的要因から、累積性外傷疾患の傾向や程度を数値化できます。(I=組織の損傷、N=反復回数、F=最大筋力に対する各反復運動の収縮のパーセンテージ、A=各運動の振幅、R=運動と運動の間の休息)
一定の収縮を長時間にわたって強制されると、筋は低酸素状態となり、いわゆる「ケガ」をしていなくても内圧が高まり、摩擦が起こって内部負荷が瘢痕組織を形成することが分かっています。
瘢痕組織を取り除き、各組織がそれぞれの働きを発揮できるよう、筋・腱・靭帯・筋膜の注意深い触検と施術が不可欠です。
身体が楽になれば、音色にも変化があるでしょう。
- Martial Arts Injuries : 武道による外傷
武道(武術)は、心身を鍛えるためのものです。そして、相手をいかに効率よく無力化するかを力ではなく技術で極めます。
一般的なスポーツでは、基本的な運動能力や大きな体格が非常に有利となりますが、武道では力や体格は必ずしも重要視されません。精神の統一と技術、柔軟性、体幹の安定性を磨き、「柔よく剛を制す」のです。
投げられたり蹴られたり打たれたり、ケガのリスクも一般的なスポーツと比べて高くなります。
ケガからいち早く回復することはもちろんですが、骨盤の安定性と股関節の柔軟性の向上を目指します。
- Specific Sports Injuries : 特定のスポーツ障害
プロフェッショナルまたはアマチュアとして行われている特定のスポーツには、それぞれ特異的な動きがあります。蹴る、投げる、打つ、走る、跳ぶ、漕ぐ、泳ぐ、持ち上げる、押す、引くなどです。
どの動きを反復して行うか、最大筋力の何パーセントで行うかによって傷害の種類と程度が異なります。小さい負荷で反復性が高いのか、大きい負荷で反復性が低いのか、どちらにしてもアスリートであれば、それらの特異的動きに磨きをかけ、勝つために試合に臨まなくてはなりません。
痛みや機能障害として発症する前のメンテナンスと、累積性外傷に移行しないための定期的なケアをおすすめです。
- Desk and Computer Work : デスクワークやパソコン業務による累積性障害
何かした覚えがないのに首が痛い、手がしびれる、長時間座っていると腰が痛く、動くと楽になるなどの症状です。椅子に座りっぱなしで同じ姿勢でいることは、想像以上に体に負担をかけています。首の後ろの筋肉は重い頭を保持するために、絶えず収縮します。肩甲骨と肩甲骨の間の筋肉は伸ばされたまま循環が悪くなります。
一定の収縮を長時間強制されるということは、筋は低酸素状態となり、いわゆる「ケガ」をていなくても内圧が高まり、摩擦が起こり、内部負荷が瘢痕組織を形成します。デスクに座りっぱなしでも、筋肉組織は傷つくものです。
ひどくなると緊張性頭痛を起こします。仕事などでどうしてもパソコン作業が避けられないことが多い場合、1分以内の適度な休息(マイクロブレイク)をとり、正しいパソコン環境を整えるとともに、定期的なケアが必要です。瘢痕組織を取り除き、各組織が再びそれぞれの働きを発揮できるよう、筋・腱・靭帯・筋膜の注意深い触検と施術が不可欠です。目の奥が痛い、後頭部が痛い、肩こりがひどいなどの症状を伴う頭痛にお悩みの方もご相談ください。
- Artist Injuries : 芸術家のためのヘルスケア
スポーツ家にはスポーツ医やトレーナーが体のケアをしますが、体が資本の芸術家にもケアが必要です。身体で表現する、または物造りで表現するなど、姿勢や動きには多様性があります。
いわゆる「ケガ」はしていないのに身体の一部が痛いという場合は、累積性外傷疾患かもしれません。長時間の同じ姿勢、または反復性の高い動きは、体の一部に負荷が集中します。筋肉、腱、靭帯、筋膜の疲労はスポーツアスリートと同様といえます。
痛みや機能障害として発症する前に、また累積性外傷に移行する前に、定期的なメンテナンスをおすすめします。芸術活動やケガの状況を考慮しながら、次の公演または作品制作に向けてのパフォーマンス向上、痛みの軽減、関節可動域の改善などを目標にアプローチします。
体調の良し悪しで表現する芸術に影響します。
- Physical Work Injuries : 力仕事による損傷
急性の損傷が多く、いつどんなことをして傷めたか覚えていることが比較的多いといえます。力を使う作業では、筋肉の収縮が最大筋力に近いこともあり、1 - 2回の無理な動きや酷使で痛みやしびれとして発症します。
ジムでのウェイトリフティングでは、重いウェイトを正しいフォームで呼吸を整えて持ち上げ、ケガを予防しますが、実際の仕事現場ではそうはいきません。足場が悪かったり、他の作業にも注意を払わなくてはならないからです。
負荷の大小を問わず、体の組織がその時の負荷に耐えられないときに、組織に損傷が起きます。ケガをして72時間が一般的に急性期とされており、この時期に早めにケアすることでその後の回復に大きく影響します。痛みと炎症の度合いによって施術方法を調節しながら、早期の仕事復帰を目指します。いつもと違う違和感や痛みを感じたならば、早めに回復させておくことが重要です。
- Rehabilitation after Immobility : 固定や安静の後のリハビリ
骨折や病気、何らかの理由で身体を動かさないでいると、想像以上に身体には退行変化(筋肉の萎縮、骨密度の低下、関節可動域の減少、癒着組織の形成)が起きます。骨折後のギプスを外し、病院ではもう治ったと言われ、通院はしていないものの、筋力の低下や関節可動域の減少で日常生活や運動に支障をきたすことがよくあります。
レントゲン写真では骨は完治していても、周りの筋肉、筋膜、腱などの軟部組織が癒着していると何ヶ月経っても痛いものです。入院や安静のあとも同様に、筋肉の萎縮とともに関節の可動性が一気に減少し、これまでのように自由に動けなくなります。早い段階の適切なケアとリハビリが必須ですが、違和感や痛みに悩まされ何年も経過している場合でも、諦めないで改善を目指します。
- Nerve Entrapment : 感覚異常やしびれなどの神経症状
神経症状は「痛み」よりも厄介です。一般的に神経障害がある部位より末梢に症状を呈し、必ずしも痛みがある部位が損傷部位とは限らないからです。症状もさまざまで、痛みとしびれのほかに、知覚神経が関与していれば皮膚感覚の減少、運動神経が関与していれば筋力低下が起こります。
神経症状のパターンを注意深く観察し、皮膚分節と筋分節への影響と深部腱反射、パルペーション、関節可動域の検査などをして神経の絞扼(神経が挟まれている)部位にアプローチします。
- Pregnancy and Postpartum Care : 妊娠中・産後のママケア
日々変化する体重と重心に対応してくのは大変なことです。腰の違和感をはじめ、股関節痛、肩こり、背部痛が起こります。そして、体重が増えるとともに、朝起きて立ち上がるとかかとや足底に痛みやこわばりを感じることがあります。
妊娠週数に配慮した姿勢で、安全でやさしいアプローチをします。
案外、産まれてからのほうが、体はきついものです。寝不足と運動不足に加え、授乳やだっこ、おんぶと、身体は常に酷使されます。骨盤や股関節の違和感、背中の張り、腱鞘炎、足底筋膜炎など、我慢しないで早めに施術すれば、スピーディーな産後の回復につながります。
- Relaxation and Maintenance : 予防とメンテナンス
日常生活を楽しむにも運動パフォーマンスを向上するにも、身体のメンテナンスが必要です。どんなに優れた機械でも、高級車でも、楽器でも、定期検査とメンテナンスが必要なのと同じことです。
身体部位には、血液供給が豊富でケガしても治癒する可逆性の組織損傷と、血液供給に乏しいため代謝速度が遅く治癒しにくい、非可逆性の組織損傷とがあります。つまり、発症する前の違和感や不調の段階で予防とメンテナンスが必要なのです。
いつまでも活動的でいたいものです。適度な運動を日々続けながら、末永く使う身体ですので、予防を兼ねた定期的な施術をおすすめします。
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「声」 VOICE
筋骨格神経系の障害は、各個人によって損傷の度合いも日常生活への影響も多様化しています。お一人で悩んでいたり、あきらめている方へ当院のクライアント様からメッセージが届きました。共有したいと思います。
スポーツにおける体のメンテナンス
"I have worked with several ART® doctors in the USA over the past 10 years. I have found Dr. Ikuko Abe to very knowledgable, very caring, and able to listen to my needs and every time I've worked with her I came away feeling 20 years younger. Her technique and expertise is one of the best I've ever had."
「私は過去10年間以上、アメリカで何人ものART®(アクティブ・リリース・テクニック®)ドクターと共に選手生活を歩んできました。Dr.阿部郁子は、知識が豊富であるばかりでなく、患者(クライアント)の立場に立って私の必要としている治療を施してくれます。彼女に施術してもらった後は、20歳も身体が若返ったように感じます。彼女の技術と専門性は、私が知っているドクターの中でもベストと言えます。」
Brian Watts, Professional Golfer
ブライアン・ワッツ (プロゴルファー)
椎間板ヘルニアの症状緩和
「第5腰椎と第1仙椎の間の椎間板に大きなヘルニアがあると診断され、手術を示唆されて落ち込んでいたときに、阿部先生に出会い、アクティブ・リリース・テクニック® という治療法があることを知りました。ヘルニアのある周囲の軟部組織(神経組織を含む)を治療し、回復を早めるというものでした。
自宅でのエクササイズとして、ヘルニアによる神経絞扼に対して坐骨神経のストレッチも指導されました。
椎間板ヘルニアに悩んでいる方は多いと思います。一般的にヘルニアといえば、手術が唯一の選択肢と考えがちですが、そうではないと実感しました。阿部先生の ART の治療と坐骨神経のストレッチ、ほかにもヨガや水泳などで体幹の筋肉を鍛え、3ヶ月でしびれが消えました。
同じ悩みを抱えた方へのアドバイスとしては、手術をする前に阿部先生のような徒手医療の知識がある先生に相談し、適切で明確な助言を受けるとよいと思います。
私は現在、症状もなく、これまで以上に体幹が鍛えられ、腰も安定しました。日常の活動やスポーツを楽しんでいます。みなさん、グッドラック。」
Richard Beal
リチャード・ビール
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